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■ いったい何が起きているのか?

2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対して大規模な軍事攻撃を実施した。

これを受け、イラン革命防衛隊(IRGC)は船舶向け無線(VHF)でホルムズ海峡の全船舶通過禁止を放送。

翌3月1日にはイランの国営メディアが最高指導者ハメネイ師の死亡を報じ、情勢は急速に悪化した。

ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾と外洋(アラビア海)をつなぐ幅わずか約50kmの水路だ。

「世界で最も重要な海峡」とも呼ばれ、世界の海上原油輸送の約2割、LNG(液化天然ガス)取引の約2割がここを通過する。

その海峡が、今まさに機能を失いつつある。

 

■ 海運各社の対応 ── 3月3日時点

日本の海運大手3社が通航停止

・日本郵船・商船三井・川崎汽船の海運大手3社が、ホルムズ海峡の通航を相次いで停止。

・日本船主協会によると、ペルシャ湾内で日本関係船40隻超が待機を余儀なくされている。

・商船三井はペルシャ湾内にLNG船・原油タンカーなど約10隻が常時航行中だったが、「船員・貨物・船舶の安全を最優先に24時間体制で監視を強化」とコメント。

 

世界大手4社も全便停止

マースク(デンマーク)、MSC(スイス)、CMA CGM(フランス)、ハパックロイド(ドイツ)の世界コンテナ大手4社も相次いで全便停止を発表。

MSCに至っては中東向けの全世界貨物予約を全面停止するという前例のない措置を取った。

 

船舶通過数は7割減

米紙ニューヨーク・タイムズによれば、2月28日夜時点でホルムズ海峡を通過する船舶が約7割減少。

ロイター通信は数百隻の船舶が海峡付近で停泊していると報じた。

 

■ コスト・運賃への影響

・超大型原油船(VLCC)の日額運賃が20万ドルを超えたとの報道あり

・戦争リスク保険料は数倍に急騰。海峡を通過する船舶は保険取得自体が困難に

・コンテナ運賃は下落傾向から一転、反転上昇の兆し

・マースクは2026年通期業績見通しを「15億ドルの損失〜10億ドルの利益」という異例の幅広い設定。世界最大級の船社ですら先行きを見通せない状況だ

 

 

■ 日本経済への影響 ── 私たちの生活は?

原油依存度の高さ

日本は輸入する原油の9割以上をサウジアラビア・UAE・クウェートなど中東地域に依存しており、その大半がホルムズ海峡を経由して輸送されている。

備蓄で当面は乗り切れる

資源エネルギー庁によると、2025年12月末時点で国家備蓄として約146日分(国内消費量ベース)の原油を備蓄。

出光興産は「石油製品の供給に直ちに影響が出ることはない」としているが、封鎖の長期化は別問題だ。

物価・インフレへの懸念

・ガソリン価格・電気代・ガス代の上昇

・ 物流コスト増加 → 食料品・日用品の値上げ圧力

・ドル高・円安の進行(「有事のドル買い」)

高市首相は3月2日の衆院予算委員会で「物価動向などを注視し、機動的対応を講じる」と答弁した。

 

■ 海運株の動向

皮肉にも、3月2日の東京株式市場では海運株が上昇。

「船舶運賃が上昇し海運各社の収入を押し上げる」との見方から買いを集め、川崎汽船が前営業日比6%高、日本郵船・商船三井もそれぞれ4%高となった。(石﨑)