
イラン・アメリカ衝突で、日本のガソリン代はどうなるのか
いま中東で起きているイランをめぐる戦争は、日本にとって決して他人事ではありません。
理由はとても単純で、日本は原油の多くを中東に頼っているからです。
資源エネルギー庁によると、日本の原油輸入に占める中東依存度は2023年度で94.7%でした。
しかも、ホルムズ海峡は世界の石油輸送の大動脈で、今回の戦争でここが大きく混乱しています。日本はその影響を受けやすい国です。
つまり、今回の問題は「海外で戦争が起きている」という話ではなく、私たちの生活に直結する「ガソリン代」「灯油代」「物流コスト」の話でもあります。
実際、原油価格は今月急騰し、ブレント原油は週内に一時1バレル119.50ドルまで上がりました。足元でも100ドル前後の高い水準にあり、エネルギー市場はかなり緊張しています。
すでに日本国内でも影響は出ています。
経産省公表ベースで、2026年3月9日時点のレギュラーガソリン全国平均は161.8円/Lで、前週より3.3円上昇しました。
戦争の影響が出始めた最初の週でこれだけ上がっているため、何も対策がなければ、店頭価格はさらに上がりやすい流れです。
そこで政府は、原油の備蓄を放出する方針を打ち出しました。
3月16日から民間備蓄15日分を放出し、3月下旬ごろからは国家備蓄1か月分も放出する予定です。
これは、家庭でいうと「非常食を少しずつ使って急場をしのぐ」ようなものです。足りなくなる前に市場へ油を回して、混乱や急騰を和らげる狙いがあります。
日本全体では約8,000万バレル、約45日分に相当する放出になると報じられています。
さらに政府は、3月19日から補助金を使って、ガソリン価格を全国平均で170円程度に抑える措置も始めるとしています。
軽油・重油・灯油にも同額の支援を入れ、航空機燃料にはガソリンの4割相当を補助する方針です。
要するに政府は今、「いきなり家計負担が跳ね上がらないように、まず170円前後で食い止めたい」と考えているわけです。
では、今後のガソリン価格はどうなるのでしょうか。
一般の方に向けてシンプルに言えば、短期的には“上がる圧力は強いが、政府が170円前後に抑え込みを図るという見方がいちばんわかりやすいです。
原油が高く、円安も進み、3月13日には円相場が一時1ドル159.43円まで下落しました。
日本はエネルギーを輸入に頼るため、原油高に加えて円安もガソリン価格を押し上げる要因になります。
ただし、本当に気をつけるべきなのはその先です。
備蓄放出や補助金は、急な値上がりを和らげるには有効ですが、戦争が長引けば効果には限界があります。
IEAは今回、加盟国で計4億バレルの協調放出を決めましたが、同時に3月の世界の石油供給が800万バレル/日落ち込む見通しも示しています。
つまり、備蓄で時間は稼げても、戦争そのものが長引けば、燃料費の高止まりや物流費上昇が続く可能性があります。
家計目線でいえば、今後はガソリンだけでは終わりません。
トラックの燃料代が上がれば、食品や日用品の配送コストも上がりやすくなります。
灯油が上がれば家庭の負担が増えます。飛行機の燃料が高くなれば運賃にも響きます。
今回の中東情勢は、最終的には「給油のたびに高い」と感じるだけでなく、「物価全体がじわじわ重くなる」可能性がある出来事です。
これは各種の燃料支援が同時に打ち出されていることから見ても、政府が影響をガソリンだけの問題と見ていないことの表れです。
いまの段階で言えることを、最後に一言でまとめるとこうです。
すぐに200円台へ突入するというより、まずは政府が170円前後で抑えようとしている。
しかし、戦争が長引けば、その抑え込みにも限界が出て、家計や物価への影響はじわじわ広がる。
これが、2026年3月16日時点での一番現実的な見方です。(石崎)
