貸切バス事業者も他人事ではない―JTB処分が示す運賃遵守の重要性―
令和8年7月7日、観光庁は旅行業大手JTBに対し、貸切バスの手配において運賃・料金制度に違反する行為があったとして、旅行業法に基づく業務停止処分を行いました。
処分の対象は旅行会社ですが、この事案を貸切バス事業者の立場から見ると、決して他人事ではありません。
貸切バスの運賃は、国土交通省へ届け出た運賃・料金の範囲内で収受することが義務付けられており、特に「下限運賃」を下回る契約は、安全運行を脅かす行為として厳しく問題視されています。旅行会社から「この金額でお願いできないか」と打診される場面は少なくありませんが、それに応じて下限を割る運賃で運行すれば、旅行会社だけでなくバス事業者側も道路運送法に基づく監査や行政処分の対象となる可能性があります。
近年、運輸局は貸切バスの運賃遵守を重点的な監査項目としており、契約書や見積書、請求書などの内容を精査し、実際の収受額まで確認しています。「長年の取引だから」「元請けの要請だから」という理由は通用しません。
今回の処分は、旅行会社のコンプライアンスだけではなく、貸切バス事業者にも適正運賃の徹底を改めて求めるメッセージと言えるでしょう。価格競争ではなく、安全を支える適正運賃を確保することが、利用者の安心と事業者自身を守ることにつながります。旅行会社からの条件提示に安易に応じるのではなく、法令に基づいた適正な契約を貫く姿勢が、これまで以上に重要になっています。
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