「うちのお客様は、中国人ばかりだ。」

それは、喜ばしいことでもあり、少し怖いことでもあります。

インバウンド需要が回復した2023年以降

都市型ハイヤーの事業者の多くが、中国人観光客の爆発的な利用増に恩恵を受けてきました。

富裕層の観光、ショッピング、医療渡航。単価も高く、リピーターもつく。

これほどありがたい顧客層はない、と感じている事業者も多いでしょう。

しかし、2025年に入り、状況は変わりつつあります。

米中関係の緊張、中国国内の経済停滞

そして訪日中国人数の伸び悩み。

一つのマーケットに売上の大半を依存している事業者ほど

この「静かな変化」を肌で感じているはずです。

思い返してほしいのですが、コロナ禍の2020年から2022年

中国人観光客は文字どおりゼロになりました。

あのとき何が起きたか。売上が消え、車両が動かなくなり

運転者の雇用を維持できなかった事業者が続出しました。

「まさかこんなことになるとは」という言葉を、当時何度聞いたことでしょう。

 

地政学リスクは、予告なく来ます。

SARSがあり、コロナがあり、米中対立があり、そしてこれからも何かが起きます。

問題は「リスクがあるかどうか」ではなく、

リスクが顕在化したとき、事業を継続できる体力があるかどうか」です。

 

では、具体的に何をすればいいか。

大きく三つあります。

 

一つ目は、売上構成の「見える化」です。

月次の売上を、顧客の属性別・国籍別に記録する習慣をつけてください。

「中国人観光客が何割を占めているか」を数字で把握していない事業者は、実は少なくありません。

まず現状を直視することが、次の一手につながります。

 

二つ目は、既存の許可の使い道を広げることです。

都市型ハイヤーの許可は、顧客の国籍や用途を限定していません。

今の許可のまま、法人送迎、空港送迎、国内富裕層向けの観光案内、医療送迎など、複数の用途に対応できます。

「うちはインバウンド専門だから」という思い込みが、実は一番のブレーキになっていることがあります。

 

三つ目は、一つでいいので「中国以外の顧客」と取引を始めることです。

完璧な多角化戦略を立ててから動くのではなく、まず一件、ホテルのコンシェルジュに声をかけてみる、法人の総務担当者と話してみる、

英語対応できる旨をGoogleビジネスプロフィールに書いてみる。

小さな一歩が、次の問い合わせにつながります。

「今は忙しいから、集客の多様化は後でいい。」その「後で」が来たとき、動ける準備ができているでしょうか。

忙しいときこそ、足元を見直す好機です。(石﨑)