トラックで他人の荷物を運び、運賃を受け取る事業を始めるには、一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。許可の審査では「車両」「人」「お金」「場所」の4つがそろっているかが確認されます。

令和7年に貨物自動車運送事業法が改正され、今後は許可の5年更新制も始まる予定です。これから参入する会社ほど、最初の体制づくりが将来の更新にも響く時代になりました。この記事では、許可を取るための要件を4つの柱に分けて整理します。

軽貨物(届出)と一般貨物(許可)の違い

軽自動車や125ccを超えるバイクで荷物を運ぶ場合は「貨物軽自動車運送事業」となり、運輸支局への届出で始められます。一方、普通トラックなどの緑ナンバー車両で運ぶ場合は、一般貨物自動車運送事業として国の許可が必要です。白ナンバーの自家用トラックで運賃をもらって荷物を運ぶことは、いわゆる「白トラ」として禁止されています。

柱1 車両:営業所ごとに5台以上

営業所ごとに、事業用の車両を5台以上配置する必要があります(霊きゅう車など一部の例外を除く)。車両は自社で購入したものでも、リースでも構いませんが、申請の時点で使用する権利があることを書類で示す必要があります。車両の大きさは、後で説明する車庫や前面の道路の幅とも関係するため、セットで検討します。

柱2 人:運行管理者・整備管理者・運転者

役割 主な要件
運行管理者 国家資格(運行管理者試験の合格など)。営業所ごとに、車両数に応じた人数を常勤で選任(5台なら1人以上)
整備管理者 整備士資格、または車両の整備管理の実務経験2年以上+研修の修了
運転者 事業計画を実行できる人数を確保。日雇いや短期の雇用は不可
役員 常勤の役員が法令試験に合格すること

許可が出るかどうかを左右しやすいのが運行管理者です。資格者が社内にいない場合は、試験の日程から逆算して準備する必要があります。また、役員の法令試験は実施回数が限られており、不合格が続くと申請自体が取り下げになることがあります。社会保険・労働保険への加入も前提です。

柱3 お金:自己資金で所要資金をまかなえること

事業を始めるのに必要な資金(車両費、営業所や車庫の費用、保険料、税金、当面の人件費・燃料費などの運転資金)を計算し、その全額以上の自己資金があることを示す必要があります。資金は申請時だけでなく、審査中も確保し続けなければならず、残高証明書を申請時と許可の前の2回提出するのが一般的です。「申請のときだけ借りて残高を作る」方法は通用しないと考えてください。

柱4 場所:営業所・休憩施設・車庫

  • 営業所:使用する権利(自己所有・賃貸)があり、都市計画法や農地法などに違反していない建物であること。市街化調整区域の物件は特に注意が必要です。
  • 休憩・睡眠施設:運転者が休憩や仮眠をとれる場所を、原則として営業所か車庫に併設すること。
  • 車庫:原則として営業所に併設。難しい場合も、営業所から一定の距離内にあること(距離の基準は地域ごとに定められています)。出入りする道路の幅が車両の大きさに合っていることも必要です。

物件を契約したあとで「この車庫では許可が下りない」と分かるのが、いちばん避けたい失敗です。物件を決める前に、要件に合うかどうかを確認しておきましょう。

許可までの期間

申請から許可までは、標準的に3〜5か月程度かかります。許可が出た後も、運行管理者の選任届、車両の緑ナンバーへの登録、運輸開始の届出などが続きます。事業を始めたい時期から逆算して、半年以上前から準備を始めるのが理想です。

まとめ

一般貨物の許可は、4つの柱のどれか1つが欠けても取得できません。特に「車庫」と「資金」は、準備の順番を間違えるとやり直しが難しい部分です。行政書士法人SUNでは、物件選びの段階からの要件確認や、資金計画の作成もお手伝いしています。

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