令和7年6月に公布された改正貨物自動車運送事業法のうち、多重下請構造の是正と違法な「白トラ」対策に関する規定が、令和8年4月1日から施行されました。今回の改正は、運送事業者だけでなく、運送を依頼する荷主や元請の会社にも新たな責任を求めている点が大きな特徴です。この記事では、改正のポイントと、荷主・元請・下請それぞれが気をつけたいことを整理します。
改正の3つのポイント
| ポイント | 内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 委託次数の制限 | 再委託の回数を2回以内とするよう努める義務 | 運送事業者・利用運送事業者 |
| 白トラ利用の罰則 | 無許可の白トラに運送を委託した荷主等も処罰の対象(100万円以下の罰金) | 荷主・元請など、運送を委託するすべての者 |
| 書面交付・管理簿の対象拡大 | 元請としてトラックを利用する利用運送事業者にも、書面交付義務と実運送体制管理簿の作成義務 | 貨物利用運送事業者 |
委託次数の制限:「2次請けまで」が目安に
トラック運送業界では、荷主から受けた仕事が元請から1次、2次、3次と何段階も下請に回され、そのたびに運賃が削られる構造が問題になってきました。今回の改正で、運送事業者と利用運送事業者には、再委託の回数を2回以内にとどめるよう努める義務が課されました。
努力義務ではありますが、元請には、実際に運ぶ事業者までの委託の流れを記録する実運送体制管理簿の作成が義務づけられています(重量1.5トン以上の貨物が対象、1年間保存)。誰が実際に運んでいるのかを把握できない取引は、今後ますます続けにくくなります。
白トラ規制:荷主も処罰の対象に
これまで、白ナンバーの車で有償の運送を行う違法な事業者は処罰されてきましたが、依頼した側は対象外でした。改正後は、無許可の業者に運送を委託した荷主等も、100万円以下の罰金の対象になります。また、白トラを利用している疑いがある荷主には、国土交通大臣が要請や勧告を行うことができ、勧告を受けると社名が公表されます。
「安いから」「昔からの付き合いだから」という理由で、許可の有無を確認せずに依頼していた取引先がある場合は、早めに見直しが必要です。
立場ごとに気をつけたいこと
- 荷主:委託先が緑ナンバーの許可事業者か(軽貨物なら届出事業者か)を確認し、契約は書面で交わす
- 元請:実運送体制管理簿を作成し、再委託が2回を超えないよう委託の流れを整理する
- 下請:受けた仕事をさらに再委託する場合は、元請への通知など必要な情報提供を行う
- これから参入する会社:取引先から許可の取得や体制の整備を求められる場面が増えるため、許可の要件と記録の体制を最初から整えておく
許可を持っていない会社が今からできること
白ナンバーの車で取引先の荷物を運んでいる会社は、そのまま続けると、自社だけでなく取引先にも罰則が及ぶおそれがあります。継続して有償で運ぶなら、一般貨物の許可を取って緑ナンバーで営業するのが前提です。許可の要件はシリーズ第1回で詳しく解説しています。
まとめ
令和8年4月の改正で、運送の「頼み方」まで法律で問われる時代になりました。荷主・元請・下請のどの立場でも、許可の確認、契約の書面化、委託の流れの記録が基本になります。行政書士法人SUNでは、一般貨物の新規許可のほか、取引の見直しにともなう体制づくりのご相談もお受けしています。
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