観光ツアーや団体旅行、企業の送迎など、バスを1台まるごと貸し切る形でお客様を運ぶには、道路運送法にもとづく一般貸切旅客自動車運送事業の許可が必要です。貸切バスは、過去の重大事故をきっかけに安全面の審査が厳しくなっており、許可を取った後も5年ごとの更新が求められます。この記事では、許可の要件と審査の流れを整理します。

貸切バス事業の特徴

貸切バスは、旅行会社や団体などとの契約にもとづき、1台単位で車両と運転者を提供する事業です。路線バスのように決まった路線を走るのではなく、契約ごとに行き先が変わります。営業できるのは、許可を受けた営業区域(原則として都道府県単位)が発地または着地となる運送です。

許可に必要な主な要件

項目 主な要件
車両 地域ごとに定められた最低車両数以上を、購入・リースなどで確保
営業所・車庫 使用権原があり、法令に違反していない建物。車庫は原則として営業所に併設
休憩・睡眠施設 運転者が休憩・仮眠できる施設を確保
運行管理者 旅客の運行管理者資格を持つ者を、車両数に応じて常勤で選任
整備管理者 整備士資格、または実務経験と研修の修了
運転者 大型第二種運転免許などを持つ運転者を、事業計画に見合う人数確保
資金 開業に必要な資金を自己資金でまかなえること
法令試験 常勤の役員が道路運送法などの試験に合格すること

安全投資計画と事業収支見積書

貸切バスの申請で特徴的なのが、安全投資計画と事業収支見積書の提出です。安全投資計画は、今後5年間の車両の代替、安全装置の導入、運転者の教育や健康管理などに、どれだけの費用をかけるかを示す計画です。事業収支見積書では、その安全投資を続けながら事業として成り立つ収支であることを示します。

この2つの書類は、許可を取るためだけのものではありません。5年後の更新の審査では、計画どおりに実施できたかが確認されます。実現できる計画を立てることが、将来の更新にもつながります(シリーズ第3回)。

審査の流れと期間

  1. 事業計画・資金計画・安全投資計画の作成
  2. 運輸局へ許可申請
  3. 審査中に役員の法令試験
  4. 許可
  5. 運行管理者・整備管理者の選任届、車両の登録(緑ナンバー)、運賃・料金の届出
  6. 運輸開始の届出

申請から許可までは、数か月程度かかるのが一般的です。許可を受けた後、運輸開始の前後に運輸局の確認を受けることもあります。

新規の許可と事業の譲受け

貸切バス事業は、既存の事業者から事業を譲り受ける方法で始めることもできます。ただし、事業の譲渡・譲受けにも運輸局の認可が必要で、譲り受ける側の体制が新規の許可と同じように審査されます。「許可ごと買えばすぐに始められる」わけではない点に注意してください。

まとめ

貸切バス事業の許可は、車両・人・資金・施設に加え、安全投資計画の実現性まで問われる許可です。行政書士法人SUNでは、事業計画と安全投資計画の作成から申請、運輸開始までの手続きをお手伝いしています。

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