貸切バス事業が軌道に乗ってくると、「隣の県からも仕事を受けたい」「別の地域に営業所を出したい」という段階がやってきます。営業区域の拡大や営業所の新設は、事業計画の変更として運輸局の審査を受ける必要があり、準備が不十分なまま申請すると、補正の繰り返しや申請の取下げにつながることがあります。この記事では、事業を広げるときの手続きと、申請の前に確認しておきたいことを整理します。
変更の内容と必要な手続き
| 変更の内容 | 必要な手続き(目安) |
|---|---|
| 営業区域の拡大 | 事業計画の変更の認可申請 |
| 営業所の新設 | 事業計画の変更の認可申請 |
| 営業所ごとの車両数の変更 | 届出 |
| 会社の名称・所在地、役員の変更 | 届出 |
営業区域の拡大や営業所の新設は、認可を受けるまで実行できません。認可前に新しい区域で営業を始めたり、新しい営業所から車両を出したりすると、法令違反として処分の対象になります。
認可の審査で見られること
営業区域の拡大や営業所の新設の審査では、新しく事業を始めるときと同じように、事業を安全に続ける体制があるかが確認されます。
- 人の体制:新しい営業所に、運行管理者や整備管理者を基準どおり配置できるか
- 施設:新しい営業所・車庫・休憩施設の使用権原があり、基準を満たしているか
- 資金と収支:拡大後の事業計画で、安全投資を続けられる収支になっているか
- 安全投資計画:拡大にあわせて、安全投資計画を見直しているか
- 法令遵守の状況:これまでに行政処分を受けていないか、受けている場合はその内容と時期
審査の内容によっては、役員が改めて法令試験を受けるよう求められることもあります。
補正や取下げになりやすい例
申請が長引いたり、取下げに至ったりするケースには、共通するパターンがあります。
- 新しい営業所の運行管理者が、申請の時点で決まっていない
- 車庫の賃貸借契約が、事業用車庫としての使用を認めていない
- 拡大後の収支見積もりと安全投資計画の数字が合っていない
- 過去の行政処分から一定期間がたっておらず、認可の基準を満たさない
- 申請書と添付書類の内容が食い違っている
どれも、申請前の準備と確認で防げるものがほとんどです。
申請前の事前相談が大切な理由
営業区域の拡大や営業所の新設は、会社の状況によって必要な書類や確認される点が変わります。申請の前に運輸局へ事前相談をしておくと、どこに不足があるかを早い段階で把握できます。特に、過去に行政処分を受けている場合や、更新の時期が近い場合は、申請のタイミングそのものを相談しておくことをおすすめします。
更新の時期との関係
貸切バスの許可には5年ごとの更新があります。区域の拡大や営業所の新設の申請が更新の時期と重なると、審査が複雑になり、準備の負担も大きくなります。事業の拡大を考えている場合は、次の更新日を確認したうえで、どちらを先に進めるかを計画しておきましょう(シリーズ第3回)。
まとめ
営業区域の拡大や営業所の新設は、事業の成長に欠かせない一方で、新規の許可に近い審査が行われる手続きです。人・施設・資金・安全投資計画の4点を申請前にそろえ、事前相談で不足を確認してから申請することが、取下げや長期化を防ぐいちばんの近道です。行政書士法人SUNでは、事業拡大の計画段階から、申請のタイミングや必要な準備を一緒に整理しています。
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